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原発事故:記者会見の「脳度」

◆低レベル「脳度」の記者会見
事故に関する記者会見の「脳度」は、実に低レベルである。(放射能濃度は高レベル)
先日、東電の記者会見が、まるでドタバタの喜劇のようだと酷評した。
その後、他も含めて、ずいぶんと改善されてきた。

一方で、質問する側の記者達の「脳度」の低さが際立ってきた。
彼らは、会見で提供される情報をもとに記事を書く。
そこで、記事を補間する質問をするのだが、これが実に低レベルなのだ。

・質問が冗長で、趣旨のあいまいなものが目立つ。
・「えー」や「あのー」が混じり、質問に全く迫力がない。
・長々と状況を説明し、Yes/Noを問う質問がある。(質問は長く回答は一言)

・発表内容の範囲内でしか質問しない。(余計なことには触れない自己規制)
・枝葉末節の質問がきわめて多い。
・答える立場にない相手に、答えようのない質問を浴びせる。

発表側(官房長官、保安院、東電)は、学習効果でソツがなくなった。
記者側は、相変わらず低レベル「脳度」のままだ。
国民の知りたいことを問うのではなく、己れの記事を書くための質問しかしないのである。

◆記者クラブの弊害
これらの記者会見は、各省庁や業界団体に設置されている<記者クラブ>が運営している。
<記者クラブ>は、大手の新聞社、テレビ局、通信社などで構成されている。
フリーランスの記者や外国メディアなどは排除され、原則、これらの記者会見に参加できない。

この閉鎖性が積年にわたり、官民癒着の構造を作り上げてきた。
情報を押さえる省庁が上位で、それに依存する<記者クラブ>は下位となる図式が定着した。
記者会見は、省庁の意を汲んだ馴れ合いのセレモニーとなった。

その中で、記者の批判的精神は薄れ、思考はマンネリ化し、「脳度」は低レベルとなった。
政府権力を監視するというマスコミ本来の機能は、大きく失われている。
<記者クラブ>はわが国の深刻な病根の一つで、早急に除去すべきものと思われる。