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原発事故:NHK報道に疑問符

◆NHKの事故報道に疑問符
わがNHKに対する信頼はきわめて高い。(高かった!)
質の高い番組は、当ブログでもいくつか紹介してきた。
そのNHKが、原発事故では明らかに偏った報道をしている。

◆禁句:チェルノブイリ
現在、NHKでは<チェルノブイリ>は「禁句」=「放送禁止用語」的だ。
国民に福島原発→<チェルノブイリ>を連想させてはならない、との意図だ。
おそらく政府の意を汲んで、自ら報道をゆがめている。

アナウンサーや解説者は、<チェルノブイリ>を決して口にしない。
ゲストが<チェルノブイリ>に触れると、即座に話題を切り替える。
実に徹底して巧妙で、かつ狡猾だ。

最悪の事態としての<チェルノブイリ>が、再現されてはならない。
悲劇の教訓として、この機に国民は歴史の真実を知るべきだ。
そこで果たすべき役割を、NHKは自ら放棄し、逆に阻害している。

◆禁句:コンクリートポンプ車
現場で、放水作業に大活躍中の2台のコンクリートポンプ車。
NHKはこれを「特殊な車両」と表現している。
最初のニュース(3/22)では、「場所を絞って放水できる特殊な機械」といっていた。

東京消防庁や自衛隊の放水活動は、丁寧に報道し、隊員へのインタビューまでやる。
今や、使用済核燃料プールへの放水は、コンクリートポンプ車に100%依存している。
それを、29日になっても「特殊な車両」で片付けている。なぜか?

「コンクリートポンプ車」は、チェルノブイリで「セメントの棺」を作った車両なのだ!!!

つまり、NHKにとって「コンクリートポンプ車」は、はなはだ都合が悪い存在なのだ。
国民には、絶対にチェルノブイリを連想させてはならない。
東電・政府・NHKがひたすら願う、浅はかな幻想なのだが。

もうひとつ、NHKは「コンクリートポンプ車」を提供した中央建設(株)を完全に抹殺している。

そもそも「コンクリートポンプ車」は、社員の発案を受けた会社が政府に提供を申し出たものだ。
その自発的な善意が、今、深刻な事態の一端をなんとか支え続けている。
賞賛すべき中央建設を、地方の無名の土建会社としてか、無視するNHKの態度は不遜だ。

◆NHKのやるべきこと
まずは国民に、<必要>な情報を<正確>に届けることだ。(当り前!)

 ・チェルノブイリ事故で住民が受けた放射能汚染の実態(情報不開示による被害の拡大)
 ・広島と長崎の被爆による放射能汚染の実態(両地とも立派に再生している)
 ・福島原発の予想される最悪の事態(ハザードマップの公開)
 ・最悪の事態における政府の対応策(国民と住民に覚悟と備えと安心のための情報を提供)

とくに、政府の対応策は未定と思われるので、厳しく作成・開示を求めるべきだ。

原子炉の状態だとか、電気が通じたとか、汚染した水をどこへ運ぶとか、‥‥。
日々の現象ばかりを追いかける報道に終始しているだけではないか。
それで安心や安全を連呼されても、国民は納得しない。

事態はますます悪化している。NHKはまともな姿に変身できるであろうか。