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文化立国への道(結の巻)

◆鳩山内閣は国家ビジョン>を!
何とかしてくれ~、という国民の期待を受けて、民主党政権が誕生した。
政権交代と来年度予算編成作業が重なり、低迷する景気と雇用への対策も必要だ。
混沌とした状況の中で多忙をきわめるのは分かるが、早急にやるべきことがある。

それは、日本をどういう国にするのかという<国家ビジョン>を示すことだ。
首相の所信表明演説はなかなかであったが、具体的な<国家ビジョン>は見えなかった。
友愛社会、コンクリートから人へ、などの表現では、抽象的に過ぎる。

国民に具体的なイメージと希望を与えるには、ユートピアを語るのが良いと思う。
実現できそうで、自分もがんばってみたいと思う<国家ビジョン>だ。
‥‥ 文化立国は、けっこういけると自負しているのだけれど。

民主党は選挙マニフェストにもこだわり過ぎている。
マニフェストの個々の項目は必ずしも国民の支持は高くないし、全体の整合性も怪しい。
この際現実的に見直して、<国家ビジョン>とともに再提示する方がいい。

◆地方主権=住民主権+住民責任
文化立国には地方主権が不可欠である。
しかし、中央政府から地方に権限と財源を移すには、相応の準備が必要だ。
首長や地方議会は、いまだ公共事業推進派が多数を占めている。

まず、国民(住民、有権者、消費者)が、主権を意識し、自己責任を自覚することだ。
国政選挙では、その一端が示されたといえ、民主党はその信託に応えなければならない。
それは、選挙マニフェストを硬直的に遵守することではない。

その上で、地方行政の見直しに着手することだ。
地方選挙をもう1~2回実施すれば、首長や地方議会を一新できると期待される。
そこから、本格的な地方主権の確立を始めるのが望ましいと思われる。

 ◇ ◇ ◇

現在の地方行政は、中央官庁の縦割り行政を束ねた形のように見える。
農業は農水省、商工業は経産省、医療福祉は厚労省、教育は文科省、‥‥
建設土木交通は国交省、そして地方の元締めの総務省、‥‥

使途限定の補助金・交付金で縛られ、規制でがんじがらめだ。
地方・地域の社会は、縦割り行政の寄せ集めではなく、生活が中心だ。
地方主権で、生活中心の行政を実現しなければならないのである。

◆文化立国への前進
地方主権への変革とともに、社会を経済効率優先から【文化】優先への変革が必要である。
地方再生には、文化立国の<国家ビジョン>が有効である。
従来の経済的発想では、地方(効率が悪い)の再生はほとんど不可能だ。

世にいう有識者(財界代表、経済学者、エコノミストなど)は、もはや頼りにならない。
この国難の時に、具体的な産業政策も雇用対策も提示できていない。
食べ飽きた経済定食メニューばかりで、オリジナル料理を提供する能力はないようである。

それでも、ようやく地方再生の真面目な議論がチラホラと出始めた。
しかし、依然として、地方経済の活性化などの「経済」の視点が主役だ。
地方の<社会>や【文化】を再生する議論は、もうしばらくは出てこないかもしれない。

 ◇ ◇ ◇

政府はまだ助走期間中である。
地方自治体はまだ権限も財源もない。
有識者の意見も、地方には役立たない。

となれば、地域の住民が主体的に立ち上がるしかない。
地域社会を再生するための<地域ビジョン>は、住民が創ればよい。
志を持つ地方・地域が連携して、各々の<地域ビジョン>の実現を目指すことだ。

【文化】は、各地で独自性を持ちながら、共通のキーワードになる。
伝統農業も、各地で独自性を持ちながら、共通のキーワードになる。
独自性と共通性が、多様な感性を持つ日本文化を生み出すのである。

【文化】は、これからの日本が世界で存在感を示す唯一無二の国内資源である。
【文化】は、独自の多様性を持つことで、世界から【文化】として認められる。
【文化】は、多様な地方で育まれることで多様性を持つことができるのである。

 ◇ ◇ ◇

地方から変革に踏み出して、選挙で政治体制を変革する。
それが、地方による地方のための地方の再生になる。
それが、本来の草の根の民主主義ではないだろうか。