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原発事故:NHKがやや軌道修正

◆NHKらしい原発報道を視る
1ヶ月ほど前、「NHK危うし」という記事を書いた¥
その後のNHKの原発事故報道は、相変わらず政府・東電の発表をなぞっていた。
それが、少々、変ってきたように感じさせる番組が、日曜(6/5)の夜に並んだ。

- ・21:00-22:00 NHK総合~NHKスペシャル「原発事故はなぜ深刻化したのか」
- ・22:00-22:30 NHK教育~ETV特集「続報・放射能汚染地図」
- ・22:30-23:30 NHK教育~ETV特集「暗黒のかなたの光明」

◆NHKスペシャル「原発事故はなぜ深刻化したのか」
これは、シリーズ「原発危機」第1回となっている。
NHKは、事故後3ヶ月、ようやく原発事故報道を<真剣に>やり始めたということか。
内容は、さすがNHKというべき充実感はあった。

以下に、NHKのHPの番組紹介を転載する:

いまだに危機的な状況が続き、予断を許さない原発事故。当初の想定を超え、水素爆発やメルトダウンなどが進行し、後手後手の対応のなかで、汚染は拡大していった。
なぜ、ここまで事故は深刻化したのか。
事故対応にあたった官邸、保安院、原子力安全委員会、東京電力は、どう動いたのか。
当事者たちの証言と内部資料をもとに徹底検証する。

 ◇ ◇ ◇

事故当初の対応の拙劣さが指摘されているが、番組内で当事者も率直にそれを認めている。
しかし、今回の事故の当事者の責任とはいえない面もあるようだ。
事前に準備すべき危機管理システムが不備であったことも事故深刻化の要因であった。

・格納容器のベントを手動で実行するマニュアルが用意されていなかった。
→ そのため、容器の設計図を調べ、手動ベントの手順を検討せざるを得なかったという。
・住民避難の状況の確認に手間取り、ベント実施が遅れた。

なによりも、メルトダウンが壊滅的な原子炉爆発に至らなかったのは、奇跡であった。
仏様のご慈悲か、神様のご加護か、日本は見捨てられていなかった。
そのことを胸に、これからの事故対処をしていかなくてはならないのである。

◆ETV特集「続報・放射能汚染地図」
そのための重要なステップは、詳細な「放射能汚染マップ」の作成だ。
この番組では、大学の研究チームが新開発の測定装置で計測したマップを公開した。
この装置を車に載せて、原発30km圏内のある自治体をくまなく回った結果である。

マップでは、中心部は低レベルで、原発側にやや高レベルの地点が散在していた。
また、原発側の山間部には避難レベル相当のいわゆる<ホットスポット>が見られた。
このことは、避難地域を、同心円や自治体レベルで区切る無意味さを示している。

文部科学省は、全国の大学から人材を集め、詳細な汚染マップ作成を開始したという。
80人体制というが、本格的・長期的な調査・分析には、一桁足りないのではないか。
福島大学に<汚染調査センター>を創設し、国として総力を挙げて取り組むべきだ。

◆ETV特集「暗黒のかなたの光明」
これは、比較文明学者の故・梅棹忠夫氏の<予見>を検証しようという試みの番組だ。
梅棹氏は、人間の知的好奇心の行き着くところに<文明の破滅がある>と予見した。
原子力利用とメルトダウン事故は、その象徴のように思われる。

人間の創るものに、完璧なものはない。
完璧と思う<驕り(おごり)>は、自然の暴威の前に、もろくも崩される。
西欧的な科学技術優先ではなく、自然と謙虚に共存する文明が必要だ、と教えられた。