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2011年05月27日

原発事故:国会迷走

◆国会の末期的迷走
23日午前に、衆院東日本大震災復興特別委員会をNHKの中継で見た。
自民党の谷垣総裁は、福島第一原発1号機の海水注入中断について追及した。
菅総理の対応の拙さを指摘し、退陣を迫る狙いであろう。

ところが、東電は26日になって「実は注入中断はなかった」と発表した。
原発の所長が、会社の指示に反して注入を続行した、からである。
結果的に、所長の行動は正しかったようである。

そもそも、メルトダウンした原子炉を3基も抱えている状況である。
2ヶ月半も前の問題をつついている場合ではない。
しかも、東電の情報隠蔽による<ガセネタ>を、野党第一党党首が取り上げた。

政局優先の国会の現状は、まさに末期的に迷走している。
低レベルのマスメディアの記者は、政局というと筆が躍る。
深刻な原子炉から目をそらせて、政局にうつつをぬかす。

◆放射能汚染水に歯止めがかからない
メルトダウンした原子炉では、核燃料に冷却水をかけ流している。
毎日約600トンの超高濃度汚染水が発生している。
それを貯めて置く場所がもう無い。再処理工場もまだ建設中。

梅雨に入り、台風も来るが、大雨の水が建屋の地下に流れ込んだらどうなるか。
超高濃度汚染水があふれて、再び三たび、海を汚染することになる。
その代償は計り知れないほどに巨大である。国際問題にもなる。

その海の汚染状況の調査について、水産庁などはきわめておざなりだ。
グリーンピースによる調査も、12海里の領海をタテに拒否したという。
汚染水の増加を抑えられず、貯める場所に行き詰まり、海洋汚染にも備えがない。

◆現場作業員が足りなくなる
放射能汚染の現場で働く作業員は、累積の被ばく量が限度を越えると作業を離れる。
原子炉の安定化が長期にわたると予想され、現場作業員の付し句が懸念される。
劣悪な作業環境の改善も急務で、各個人の生命にかかわる問題がなおざりだ。

◆無能な政府、無能な野党
喫緊の課題を議論できず、政局で迷走する国会は、無能政治家の寄合い所帯だ。
汚染水対策も作業員問題も、東電に任せ切りでは解決しない。
国を挙げて、緊急に取り組まなくてはならない状況なのである。

2011年05月18日

原発事故:3号機の危機

◆ようやく「メルトダウン」を認める
14日、東電は1号機のメルトダウンを認めた。
原子炉に近づけたので、確認できたという。
ついで、2号機&3号機にもメルトダウンの可能性があると認めた。

メルトダウンは、地震・津波発生後の爆発で、既に予想されていた。
東電は、それを認めずに、4月17日の事故対処の工程表を作成、発表した。
5月17日の改訂では、メルトダウンを逆用して「循環注水冷却」を提示した。

東電は、メルトダウンは無い、という「フリ」をしていたが、破綻した。
そして臆面もなく、新しい原子炉冷却方式を持ち出してくる。
自社の都合に合わせて情報を公開する、という<旧体質>のままなのである。

◆3号機が危ない!
不安定な状態が続く3号機は、真剣に注視する必要がある。
3号機のメルトダウンは、圧力容器を突き抜ける可能性を指摘されている。
そうなると、格納容器に溶けた核燃料(2500~3000度)が落ちる。

格納容器の水に触れて、水蒸気爆発が起きるかもしれない。
爆発を防ぐためには、水蒸気を外へ逃がさなくてはならない。
3号機の核燃料は、プルトニウムを含むMOX燃料である。

つまり、プルトニウムなどが大量に撒き散らされることになる。
その後のシナリオは、もはや、想像を絶する事態であろう。
そうならないことを祈るしかない。

2011年05月04日

原発事故:日本の原発一覧

◆どこにも見当らない
日本には、54基の稼動中の発電用原子炉がある。
と、よく言われるが、その全体を分り易くした一覧表が欲しい。
と、思っていろいろ探してみたが、まともなものが一つもない。

◆自前で作る
と、いうことなので自前で作ることにした。
日本の原子炉全部を表にしているのは、例の「IAEA」だ。
「IAEA」の「PRIS」というHPからそれを取得できる。

( PRIS = Power Reactor Information System )

ExcelにデータをCopy&Pasteして、日本語表記にしたり、手入れをした。
さらに、データベース化するため、Accessにインポート。
これに、Wikioediaの「日本の原子力発電所」からデータを補充。

いくつかの補助的なデータ項目を追加えて、データベースを完成。
ここから<欲しかった一覧表>を作った。
Webで公開するため、Excelで編集し、HTML形式にしたのが次の二表である。

 ・日本の原発:発電所別一覧(58基)
 ・日本の原発:運転開始順一覧(56基)

なお、「稼動中」となっている「福島第一」の4基(6基?)は、廃炉の見込み。
また、既に廃炉になっている2基(浜岡)を含めた。
「発電所別」には、、建設中のもの2基(大間、島根#3)を含む。

2011年05月02日

原発事故:孫正義さんの講演

◆孫さんが<脱原発>を熱く語った
USTREAMの中継録画で、ソフトバンク社長の孫正義さんの講演会を視た。(4/30)
今回の事故を受けて、<脱原発>と自然エネルギーへの転換を、約一時間、熱く語った。
具体的なデータをグラフで示し、きわめて説得力のある巧みな語り口であった。

 ・USTREAM 2011/04/22(USTREAMは、ソフトバンクが運営する動画サイト)
  「自由報道協会主催」東日本大震災についての講演と記者会見
  孫正義「エネルギー政策の転換に向けて」

すばらしい講演であった。
<脱原発>の理念を掲げ、その実現のために自ら行動する孫さん。
その志と情熱に心から賛同したい。

◆孫さんは変わった
孫さんは講演で語る。
福島原発事故までは、原発推進でも<脱原発>でもなく、要するに無関心だった。
事故後、一ヶ月ほど前に、<脱原発>でなければと思うようになった。

原子力発電のように危険なエネルギー源は、次世代に残すべきではない。
原子力=安全&低コスト、というプロパガンダにだまされてはならない。
安全、低コスト、自給自足の自然エネルギーは、実現可能なのだ、と。

 ◇ ◇ ◇

孫さんが変わるきっかけは、おそらく、後藤正志さんとの対談だ。
この対談も、一ヶ月ほど前に、USTREAMで中継された。(これもすばらしい内容)
お二人は初対面ということだが、すっかり意気投合した様子であった。

後藤さん(元東芝の原子炉設計技師)は、原発の危険性を一貫して訴え続けてきた。
マスメディア(マスコミ)に登場することはない。異端児扱いだ。
しかし、原発事故は現実に起き、後藤さんの危惧したように展開している。

原発の危険性を、設計理念から、切々と語る後藤さんに、孫さんは共鳴したのであろう。
この対談で、「原発は止めねばならない」と総括しておられた。
多くの人が、後藤さんの警鐘に耳を傾けるようになってきたと思う。筆者もそうである。

◆孫さんの行動
まずは、ベースとしての財団を創る。
ご自身が10億円を拠出し、賛同者(個人、企業など)を募る。
財団では、<脱原発>の情報を収集し、公開し、社会に真実を伝える。

「誰かがやらねば」と、孫さんは語る。
「誰もやらないから」と、孫さんは立ち上がった。
「成功するかどうかは分らない」とも。

たぶん、政・官・産・学・マスメディアの原発推進複合体の妨害工作は激しくなる。
誹謗・中傷・個人攻撃は、執拗に繰り拡げられるに違いない。
すでに、手を替え品を替え、それは始っているようだ。

そうした懸念を問われて、孫さんはきっぱりと言い切った。
「国民の力で推進せねば」
「私には、覚悟がある」!!!

◆政策実現のスローガン
孫さんは、政策を実現するためのスローガンを示された。
太陽光発電を急速に普及させたドイツの例に倣うものだ。
簡潔に、わずか一行:

 ・自然エネルギーを『1KW時40円で、20年間買い取る』

このスローガンの下、国、地域、企業、個人が自然エネルギーに邁進する。
技術を開発し、電力網のスマートグリッドを構築する。
現在の九電力による独占体制も改革が必要であろう。

(蛇足ながら)
◆フリーランスの記者も<低>脳度な質問
講演後、記者会見が行われた。
「自由報道協会」の主催であり、閉鎖的記者クラブの場合とは異なる期待を持っていた。
しかし、ほとんどの質問はお粗末な<低>脳度ぶりを露呈した。

記者クラブの記者の質問は、慣れ合いと怠惰と惰性の重箱の隅つつき。
一方、「自由報道協会」のフリーランス記者の質問は、自己PRと観念的内容の空回り。
日本のジャーナリズムの実態が顕れているようで、お寒い限りだ。

日本では意見を述べるとき、会社名などを名乗るのが普通だ。
氏素性の分らない者は、意見を述べる機会すらない。
意見の内容よりも、それを述べる立場が重視されるのだ。

大きな組織、有名企業に所属する者は、所属先を示せば済む。(個人名はどうでもよい)
フリーランスはそうはいかない。組織名や会社名は知られていないからだ。
そこで、質問に際して、まずは自己紹介(PR色が強い)をすることになる。

何人もが、司会者から「質問をお願いします」と促される始末だ。
質問は、自分の信条や経験に基づく観念的なものが多く、孫さんの具体性と対照的だ。
また、孫さんの志と行動に前向きにに賛同する意見や質問は少なかったように思う。

記者クラブに虐げられているフリーランスの方々の悲哀も感じられる。
今後は、個人名だけを名乗り、質問の内容で勝負する気概を示して欲しいものだ。
それこそが、「自由報道協会」とダメ記者クラブを差別化するキーであると思われる。