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世相:ロッテが日本一

◆プロ野球日本シリーズ
千葉ロッテが、今年の日本シリーズの覇者となった。
パ・リーグ3位ながら、2位西武、首位ソフトバンクを連破して日本シリーズへ。
勢いを駆って、セ・リーグ覇者中日を倒し、日本一となった。

ロッテの選手達は、終始のびのびとプレーして、結果を出した。
リーグ3位のチームがシリーズに登場することに、当初は違和感を持っていた。
しかし、ロッテの野球を見て、実に楽しかった。

◆ロッテの強さ
ロッテには、他のチームと異なる際立った特徴がある。
いわゆる大砲(ホームラン打者)を集めたクリーンナップトリオがいないことだ。
1、2番が出塁して3~5番で点を取る、のが普通の野球チーム。

だから、どこも頼りになるホームラン打者をそろえることに腐心する。。
しかし、毎年ホームラン30本以上、打率3割以上を打てる選手はごく少ない。
必然的に、年俸はきわめて高く、待遇も特別扱いになる。

そうした選手は、当然、資金的に余裕のあるチームに集まり、実際チームも強い。
このところセ・パの上位は、中日・阪神・巨人、ソフトバンク・西武である。
その中でロッテは、全く異質な選手構成のチームだ。

1~9番が、フラットなのである。(パ・リーグは指名打者制で、投手は打たない)
誰でも1、2番の意識で出塁を心がけ、誰でもバントで送り、ひたむきに後ろへつなぐ。
打線の構成、作戦の組立ては、柔軟性と強靭性を兼ね備えている。

2死でヒットが出ればもうチャンスで、しぶとく点につなげる。
この日本シリーズでもよく見られた光景だ。
強打者も大打者もなく、切れ目のない全員野球のチームで、それが頂点を極めた。

このロッテの基礎は、バレンタイン元監督が築き、西村監督が引継ぎ、発展させた。
中日戦では、指名打者制のない試合でも強く、相手の強力投手陣を攻略した。
投手陣も充実したロッテは、すばらしい魅力的なチームである。

◆ロッテは日本経済の未来像を暗示する
低迷する日本経済は、野球に例えれば、重厚長大の打者をそろえた、従来型のチームだ。
総合電気、自動車、鉄鋼、石油化学などは、いわばホームラン打者。
あたれば大きいし、大量点にもつながる。

しかし、今や最盛期を過ぎた。
新興国の生きのいい投手の投げ込む直球に、既に振り遅れが目立つ。
新しい変化球にも、全くタイミングが合わない。

日本経済は、重厚長大型の経済ではなく、軽快なロッテ型構造に転換する時だ。
変化の激しい世界の速い流れの中で、したたかに生きていく経済を目指すべきなのだ。
それにしては、菅内閣も野党も心もとなく、日本全体は<戦艦大和>の運命をたどるのか。