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2013年10月29日

新発田・石泉荘に心遊ぶ(2)

◆『石泉荘』の由来
『石泉荘』のある一帯は、明治時代初期から花街として栄えた。
ここには「花菱」という料亭があり、庭園は当時のものである。
しかし、明治37年に大火があり、街も「花菱」も焼失した。

「花菱」は、溝口藩時代の武家屋敷の一部を移築して再建された。
現在公開されている「離れ座敷」の座敷と縁側は、当時のものが残されている。
まもなく料亭は移転し、時を経て、石橋家の所有となり、現在に至っている。

2007年に「離れ座敷」と「茶室」が、登録有形文化財に登録された。
2011年に「庭園」が登録記念物に登録された。
その後、補修工事を行い、2012年9月から一般公開された。

『石泉荘』という名称は、大正10年にここを訪れた歌人が詠んだ短歌の題名に由来する。


◆『石泉荘』の概要

『石泉荘』は、明治初期に作られた庭園である。
それゆえ、江戸時代の日本人の感性が色濃く残されているように思う。
作られた自然でありながら、本来の自然よりも自然を感じる不思議さ。

約1,500坪の広さであるが、三分の一位がオーナーの居住区域(非公開)になっている。
『清水園』の南側にあり、両園の共通入場券もある。
JR新発田駅から、徒歩約10分。

中央を流れる細身の新発田川、緑の木立、滝の音、白い石橋、野鳥の声、‥‥。
離れ座敷から眺めていると、いつの間にか、その風景に溶け込んでいく。
「ゆく川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」

庭を巡回する小径も趣きが深い。
一歩々々と踏む大きな敷き石、緑に苔むした石灯籠、色付きが楽しみな紅葉、‥‥。
ひっそりと立つ茶室は、静寂な木立の横合いにある。

樹間から離れ座敷茶室

有名寺院の名苑(竜安寺の石庭など)は、どうも少々構えて肩が張る。
広大な大名庭園(金沢の兼六園など)は、歩いて回って鑑賞するにはいい。
『石泉荘』は、静かに座っていれば、それだけで良い。

 ◇ ◇ ◇

 ・『石泉荘』 〒957-0055 新潟県新発田市諏訪町3-11-21  TEL: 0254-21-1128
      (注)12月15日から翌3月14日までは、冬季休園

2013年10月23日

新発田・石泉荘に心遊ぶ(1)

新発田で、予期せぬ、新しい出会いがあった。

◆『石泉荘』(せきせんそう)の庭園
先日(2013/10/16)、新発田紀行の折に、『石泉荘』を訪れた。
そして、そのすばらしい<和の空間>にすっかり魅了されてしまった。
それは、<心遊ぶ>というにふさわしい。

座敷から庭を見る庭から座敷と新発田川を見る

<今>は、もちろんすばらしかった。
しかし、異なる時間、異なる季節、異なる天候、それぞれにまた訪れてみたい。
自然にそう思ってしまうのだ!

藤は?紫陽花は?蛍は?鈴虫は?紅葉は?時雨は?雪は?‥‥。
一人静かに座敷から庭を眺めていたい、小径をゆっくりと辿ってみたい、
好みのポイントで写真を撮ってみたい、花鳥風月の<和>の境地。

この庭園にかけるオーナーの思いが隅々まで行き届いている。
その統一感に心が満たされ、心が遊ぶ。
まるで、自分がここに招待され、おもてなしを受けているかのように感じてしまう。

それが『石泉荘』である。