« 世相:野田内閣スタート | メイン | IT:Vaioノートを購入 »

世相:脱原発の新エネルギーは?(承)

◆<再生可能エネルギー>の単線思考
原発のエネルギーを<再生可能エネルギー>で代替可能であるという。
<再生可能エネルギー>の柱は、太陽光と風力であるという。
太陽光パネルを休耕田や浜辺にまで敷き詰めるという。

しかし、太陽光発電に過剰に期待し、過剰に推進することには問題がある。
これは<再生可能エネルギー>の単線思考である。
他の<再生可能エネルギー>の開発・普及にもマイナスだ。

◆太陽光発電の問題点
まず、太陽光で大容量の発電をするには、広大な敷地を要する。
日経新聞(8/23)によれば、大手住宅メーカーD社がメガソーラー事業に参入する。
同社が建設中のメガソーラーは、26,000平方米の企業敷地内で、1,000KWを発電する。

これは、一般家庭300世帯分の消費電力量に相当するという。(晴天の昼間の話)
このメガソーラーの敷地は、平均的な田んぼ(一反歩=1,000平方米)なら、26枚分だ!
この広さの田んぼでは、年に約200俵(12,000kg、約200人分)の米が獲れる。

日本は、将来、必ず襲来する世界的食料危機に備えなくてはならない。
電気は他の方法でも発電できるが、食料(米)の生産には田んぼが欠かせない。
電気はなくても生きていけるが、食料なくしては生きていけない、

また、
太陽光発電は、まだ、高コストで、低価格化はかなり先になりそうだ。
太陽光発電は、天候の影響を受け、夜間は発電できず、不安定な電源だ。

太陽光発電は、大手企業に有利で、地方は工事と保守の下請けに甘んじるしかない。
太陽光パネルは、既に、中国・韓国メーカーが市場を席巻していて、輸入することになる。
太陽光パネルは、かなり厄介な大量の産業廃棄物になる。

さらに、
太陽光パネルを農耕地に敷設すると、農業環境の均衡を崩し、周辺の農耕地をも破壊する。
太陽光パネルを農耕地に敷設すると、日本の原風景である田園風景を大きく損なう。

狭くて、自然豊かな日本では、太陽光パネルは主に屋根に敷設するのが妥当と考える。

◆農耕地はバイオマス発電に活用を
そもそも、農耕地は、太陽光エネルギーで農作物を育てる「光合成パネル」だ。
立派な太陽光パネルが、既に、全国的に展開されているのである。
農耕地だけでなく、牧草地も森林も野原も、緑に覆われているのが日本なのだ。

そこに、発電用の無機質な太陽光パネルを敷こうとしている。
休耕田や耕作放棄地が狙い目で、全国の可能発電量までが推定されている。
これは、農業を知らない都会の学者や官僚や企業やマスメディアの無能な発想だ。

農耕地にメガソーラーを建設する問題点は、前項で述べた通りである。
エネルギーの地産地消などというが、実際は農業や田園環境を破壊する愚作だ。
太陽光パネルは、農耕地にとっては「異物」なのである。

 ◇ ◇ ◇

農耕地の発電利用に最適なのは、バイオマス発電である。
太陽光をエネルギーに転換するのは、太陽光パネルだけではない。
生物由来の原料を利用するバイオマス発電は、もちろん、再生可能エネルギーだ。

たとえば、木材チップを燃料にして、あるいはゴミ焼却熱で発電する。
稲ワラや野菜クズからバイオエタノールを生成し、それを燃料に発電する。
日本の農耕地に適した「菜の花プロジェクト」というのもある。

農耕地でバイオマス発電用の農作物を生産するメリットは多い。
最大のメリットは、農耕地が保全される、ということだ。
農耕地は農耕を続けることでのみ保全される。

農家が得意な技で、エネルギー原料の生産に参加できるのも大きなメリットだ。
得意技を活かせる継続的・安定的な雇用が生まれる。
地方の農村地帯の振興になるのである。

自然との共生バランスも、概ね、保たれる。
田園風景も損なわれる恐れはない。
「異物」が侵入しないからである

休耕田や耕作放棄地では、バイオマス発電用の原料や飼料用作物を生産する。
太陽光パネルを敷き詰めてはならない。
先祖伝来で守ってきた農耕地は、農家が主役になって利用していくのが合理的だ。

とはいえ、農業の生産性には限界がある。
国産の食料とエネルギー原料と飼料を生産する農業を、環境保全を含めて、支援すべきだ。
再生可能エネルギー法案の「農業版」を立案し、未来志向の農業を実現したいものだ。