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原発事故:無能な政府

◆無能な政府は国民を守れない
「予断のできない状況が続いている」:菅総理の18日のコメント
「得られた情報は全て公開する」:同じく菅総理のコメント
「政府は目前の事態の収拾に全力をあげている」:19日の官房長官のコメント

いずれも政府の無能無為無策をさらけ出している。

太平洋戦争末期の軍事政府と同じ様相だ。
記者会見は、いわば大本営発表と同じレベルに見えてならない。
原爆を投下されるまでの道を、再び歩んでいるようだ。

◆「予断を許さない状況が続いている」と総理は言った!
<予断を許さない>とは、「最悪の事態」を避けるメドが立たない、ということだ。
「最悪の事態」とは、原子炉の炉心の<メルトダウン>ということだ。
つまり、「放射能が広範囲に大量にバラ撒かれる可能性のある状況」ということだ。

そこで、「最悪の事態を防ぐため、全力を尽くしている」というのだ。
つまり、「現在の作業によって、最悪の事態を防ぐ」というのだ。
そして、ここで不毛の<思考停止>に陥る。

◆「政府は目前の事態の収拾に全力をあげている」と官房長官は言った!
<思考停止>とは、、「作業が失敗した場合にどうするか」を考えない状態だ。
だから、「目前の事態の収拾に全力をあげる」ことだけになる。
さあ、たいへんだ!

政府は、最悪の事態が起るかもしれない、といいながら目先のことしかやっていない。
放射能が大量にバラ撒かれた場合の具対策は、ゼロだ。
作業が不調で、さらに放射能汚染が進んでから、泥縄の避難命令を出すハメになる。

対策は後手後手に回り、住民や自治体は大パニックだ。
そうなってはならない、そならないで欲しい、そうならないだろう、そうならない。
これが悪しき日本人の<思考停止>パターンで、政府は既に<大本営>と化している。

◆最悪に備えることだ
炉心の最終的な<メルトダウン>に至るまでに、もはや、時間は限られている。
現在の作業の成功は祈りつつも、原子炉をセメントで固め込む準備を進めるべきだ。
チェルノブイリ事故の「セメントの棺」作戦だ。

この作戦で放射能を完全封鎖できることを、国民に周知徹底する必要がある。
現在の作業がうまくいかなくても万全の方法があるということだ。
そうであれば、国民は安心して、現在の作業を見守ることができる。

「セメントの棺」は、福島第一原発の6基の原子炉を封じ込める規模になる。
ダムを作る位のセメントを、高レベルの放射能の中で、短期に積み上げる必要がある。
今から必死で準備しておかないと、間に合わない。

そんなことにならないように願うが、政府はそういう備えをするべき存在だ。
総理や官房長官の頭には、全く意識が無い。
原発事故は、今や、無為無策無能な政府による『人災』になりつつある。