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新発田の「御成り道」の説明文

 「新発田マップ」で再生される「御成り道」音声ガイドの説明文テキストを掲載します。


◆「御成り道」の説明文

 城下町・新発田の「御成り道」コースをご案内します。

 御成り道とは、藩主が城下町の外からお城の本丸へ入る時、公式に通る道のことです。
 参勤交代の行列も往来しました。
 どの城下町にも御成り道はあったと思われますが、そのほとんどは忘れ去られています。

 そんな中で、新発田の御成り道は、ほぼ当初の道筋がそのまま残されています。
 古い絵図にも、御成り道を描いた場面があります。
 江戸時代を通じて、200年以上に渡り、参勤交代の行列が往来しました。

 御成り道は、城下町の作りとお城の縄張りを、実感することのできるルートです。
 全長は、約2㎞です。
 やや詳しくご案内しましょう。

 起点の上鉄砲町には、約90軒の鉄砲足軽の屋敷が並んで、守りを固めていました。
 ここから、T字路に突き当たっては直角に曲がって、にぎわう商人町を抜けて行きます。
 城下町らしい「鍵曲り」のような街路構造です。

 大手先には、お城の御用を勤める職人の住む御免町がありました。
 お城の表玄関である三の丸・大手門は、軍勢が通りにくいように枡型で構えていました。
 現在、大手門の跡地は新発田警察署になっており、ここはショートカットになります。

 大手門から城内に入ると、大きな武家屋敷が並んでいた三の丸の通りです。
 直線的に進むと、突き当りに、かつて二の丸・中ノ門がありました。
 前面のお堀、左右の櫓、中ノ門は、残念ながらいずれも失われています。

 中ノ門の跡地から二の丸に入り、本丸へと向かいます。
 堅固で美しい本丸の石垣が現れ、鉄砲櫓(現・隅櫓)が見下ろしています。
 左手に延々と続く石垣の彼方に三階櫓、一方の右手には、表門と辰巳櫓が望まれます。

 細長い帯曲輪へ渡り、堀沿いに進んで、本丸・表門の前に到着。
 橋を渡り、表門をくぐると、かつて広大な御殿があった本丸です。
 初代藩主・溝口秀勝公の銅像が迎えてくれます。

 左手の奥には、屋根に三匹の鯱が輝く三階櫓がそびえています。
 三階櫓は、実質、新発田城の天守閣です。
 天守閣と称さなかったのは、一国一城令と越後内の譜代大名に遠慮したためでしょうか。

 御成り道は、ドラマチックな「ストーリー」を思い浮かばせてくれるルートです。
 時を越えて、バーチャルに、参勤交代の行列に加わってみてはいかがでしょうか。
 あるいは、お城をめざして攻め込んでいくと考えるのも、また、別のストーリーです。

 これらのことは、御成り道を実際に歩いてみてこそ、体験できるのです。

 最後に本丸に到着したときのご感想はいかがでしたか。
 今夜はゆっくりと風呂に入って、旨い地元の酒と料理を味わいたいものだ。
 そんなお殿様気分に浸れるかもしれません。

 たぶん、歩くたびに異なるストーリーが展開されることと思います。
 それが、この御成り道コースの魅力です。
 どうぞ、ごゆっくりとお楽しみ下さい。