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2011年11月23日

『でんない柿』との食べ比べ

◆「富有柿」&「おけさ柿」と食べてみた
八百富で「富有柿」と「おけさ柿」を買った。
『でんない柿』の味と比べてみるためだ。
生(なま)の柿を買うのは何年振りのことか。

◆「富有柿」
<完全甘柿>で、岐阜県が原産地。
全国の柿生産量の三分の一位を占める柿の代名詞的品種。
平ったくて大きい実で、3個800円。

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ごく普通の甘さで、やや硬く、ジューシーさはまあまあ。
種は4個入っていたが、実が大きい割りには小さくて邪魔にならない。
実が大きいので食べでがある。

◆「おけさ柿」
<完全渋柿>を渋抜きしたもので、佐渡ヶ島産。
民謡の佐渡おけさに因んだ名称。
平ったくて中位の大きさの実で、4個400円。

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ごく普通の甘さで、やや柔かく、ジューシーさもある。
渋抜きの柿の特徴が出ている。
種は無い。元々の平核無(ひらたねなし)の名の通り。

◆やはり『でんない柿』だ
個人的には、やはり『でんない柿』に軍配を挙げたい。
ジューシーな実に濃厚な甘味が詰まっている。
実の形も優雅な四角柱スタイルで、背が高くツンと尖っていて気品がある。

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「富有柿」も「おけさ柿」も甘さが今ひとつ物足りない。
ジューシーさも『でんない柿』に全然及ばない。
形も平べったい丸型で、かなり庶民的風貌だ。

◆大量消費社会のシンボル:「富有柿」
とはいっても、「富有柿」が柿の標準だ、ということができる。
現代の大量生産大量消費社会にもっよもマッチした柿、ということだ。
消費者にとっても流通販売業者にとっても生産者にとっても、とにかく都合がよい。

-- ・ほどほどの甘さと食感が保証され、当たりはずれがない
-- ・硬さがあり、日持ちがいいので、輸送や保管に問題がない
-- ・各地で栽培可能なので、効果的な栽培方法が広く共有され、品種改良も進む

◆地域限定の銘品:『でんない柿』
『でんない柿』は<不完全甘柿>なので、渋い実も混在する。
ジューシーな極甘(=種が多い)から、かなり渋い(=種が少ない)のまでがある。
極甘の実は熟して柔かく、日持ちが良くないので、輸送や保存には適さない。

『でんない柿』は、つまり、全国的は標準の柿にはなり得ない。
地域限定の郷土の<銘品>なのである。
<銘品>と認識すれば、細々と生きる『でんない柿』はみごと復活するのだが……。

2011年11月20日

『でんない柿』のつれづれ

◆『でんない柿』は<不完全甘柿>
ネットで調べたら、『でんない柿』は<不完全甘柿>であることが分った。
京都府立大学農学部附属農場の果樹保存品種リストに掲載されている。
『でんない』=『伝内』で、新潟産ということである。

<不完全甘柿>は、実に種子が4~5個以上入ると渋が抜ける。
渋が抜けた実では、渋味成分のタンニンが黒く固まって「ゴマ」になる。
糖度も高くなり、味も良くなる。

一方、種子が3個以下だと渋が抜けなかったり、部分的に渋かったりする。
甘くなった実と渋い実が混在するので、<不完全甘柿>というわけである。
『でんない柿』では、オレンジ色が濃いと甘く、渋いのは日が経つと甘くなる。

◆『でんない柿』は<一代雑種>
『でんない柿』は、接ぎ木で増やす<一代雑種>で、桜の「ソメイヨシノ」と同じ。
<一代雑種>だから種を採って育てるわけにはいかない。
良い実のなる『でんない柿』の枝を渋柿の木に接ぐと良いそうだ。

 ◇ ◇ ◇

◆甘柿と渋柿
日本には、約1,000種の柿があるという。
そのうち甘柿はわずか十数種で、ほとんどが渋柿。
ネットで調べると、柿は、つぎの4種に分類される:

-- ◇完全甘柿(PCNA)
-- ◇不完全甘柿(PVNA)
-- ◇不完全渋柿(PVA)
-- ◇完全渋柿(PCA)

-- ◇完全甘柿
種子の有無にかかわらず熟し、甘くなる。
富有柿、次郎柿、花御所柿など。
富有柿は最も生産量が多く、柿といえばコレ、といわれる「柿の王様」。

-- ◇不完全甘柿
種子の数が多い実は甘く、種子の数が少ない実は渋くなる。
西村早生、禅寺丸、伝内(でんない)など。

-- ◇不完全渋柿
渋柿ではあるが、種子が入るとその周囲にゴマができ、その部分が甘くなる。
平核無(ひらたねなし)、筆柿、市田柿。
平核無は、八珍、庄内柿、おけさ柿などの別名を持つ「渋柿の王様」。生産量も多い。

-- ◇完全渋柿
種子の有無にかかわらず、常に渋いもの。
蜂屋、西条など。

 ◇ ◇ ◇

柿は、なかなかに奥の深い果物である。

2011年11月18日

『でんない柿』の甘さ

◆本物の自然の甘さ
先月30日にいただいて来た『でんない柿』。
部屋に敷いた新聞紙に並べて置いた。
ここ二週間以上、やや濃いオレンジ色になっていくのを順に食べてきた。

それぞれが実に甘い!
コクがあって、優しく沁み込むような甘味だ。
渋くて固かった柿のみごとな大変身。すばらしい!

あの庭先に植えっ放しの木の枝に、なりっ放しだった柿の実。
もいだ後、そのままにして置いたのにこの甘さ。
まさに、甘柿『でんない柿』の<自然力>である。

◆自然と離れた現代の都会人
「今の柿はガスで渋を抜くからね。自然の甘さとは違うよ」と八百富のご主人。
そうか、都会人は流通経済の都合で作られた<人工の甘さ>を食べているのだ。
自然と離れた<擬似的自然>の世界に住んでいる、ということになる。

<擬似的自然>の味を<自然>の秋の味覚と思っている。
やすやすとだまされて、それでいいのだろうか。
本来の<自然>の味を忘れては、<自然と共生>する日本人の心も失われる。

◆反省
夏、糖度最高というメロンやスイカを買って食べた。
とても甘くておいしかった。
しかし、『でんない柿』に比べれば、甘いだけの甘さであったと思い知らされた。

2011年11月11日

『から寿司』:新発田・割烹「圓山」

◆『から寿司』とは
『から寿司』は、おから(豆腐の)のお寿司である。
おからを甘酢で味付けし、酢で〆た小鯛や小鯵の開きで握ったもの。
江戸時代から伝わる越後・新発田の名物だ。

現在、新発田では数軒の割烹などで、『から寿司』を作っている。
割烹「圓山」(まるやま)は、地元でなかなか評判が良い。
そのご主人と居酒屋で相席になるご縁があった。

◆『から寿司』を賞味
9月に新発田へ行った時、初めて一折を得て、2個を賞味した。
珍しいおからのシャリ味と、お頭付きの小魚に少々戸惑った。
おからに混ぜ込まれた麻の実も不思議な感触だった。

帰京してから残りを食べたが、味がなじんでおいしかった。
『から寿司』というものに慣れたせいもある。
食べ終わる頃に、写真を撮っていないことに気がついた。

そこで10月に行った時に再チャレンジ。
今度は余裕を持って味わうことができた。
やはり、長く愛されている伝統の味はすばらしい。

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上の写真も撮れた。
左が小鯵で、右が小鯛。笹の葉も重要な脇役。
小鯛4個と小鯵4個の一折が、1500円。納得のお値段。

2011年11月05日

『でんない柿』を求めて

◆思い出の「柿」
先月末、「柿」を求めて新発田へ出かけた。
幼き日の思い出の「柿」が食べ頃になったのだ。
約60年ぶりの再会を期待して。

 ◇ ◇ ◇

『蔵光でんない』という柿。
新発田郊外の蔵光地区で多く栽培されていた。
甘柿で、やや細長い四角柱で、先が尖っている。

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父の実家の庭で、この「柿」を叔父に採ってもらった。
かぶりつくと、とてもジューシーで甘く、ゴマ(褐色の斑点)がある。
この味と食感を、ずっと忘れられないでいた。

『蔵光でんない』は現在、ほとんど残っていない。
それが、ちょっとしたきっかけで、近くのお宅の庭にあると分った。
家の増築の際に切り倒すところを、移植で辛くも生き残ったという。

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その思い出の「柿」をいただきに伺った。
既に選別したものを用意して待っていてくれた。
そこから色合い・形のよいものを50個ほどいただいて帰った。

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実は、その場でかじって渋いのに当たるとまずいと思い、ホテルで試食。
それは固くて甘味も無くて、期待がはずれてガックリ。
地元の人に話したら、日にちを置けば甘くなるといわれて、帰宅後に再賞味した。

◆思い出の味
甘柿なのにジューシーで、とても甘~い。
形もなかなか品格を感じる。
コレです、コレ、コレでした!!!

実際は、枝を剪定し摘果などして木の手入れをすれば、より大きく甘くなるという。
そんな『蔵光でんない』が地元でも忘れられ、滅びようとしている。
なんとかせねば‥‥。