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2009年04月27日

アップルパイ ~ 西荻窪「アンセン」

◆リンゴがおいしいアップルパイ

このアップルパイは、パリッとして香ばしい。
中にジュ-シーなリンゴがたっぷりで、ほの甘くさっくりしている。
素材の良さと、あのパン焼き機のおかげだ。

店内のレジの奥に見えるパン焼き機は、40年間活躍のドイツ製。
たぶん気真面目な機械で、使いこなすのは熟練の職人技。
だから食パンは耳がおいしく、中は酵母が効いて、きっちりとキメ細かい。

アップルパイもこのパン焼き機の得意技と思う。
絶妙の味で、すっかりファンになってしまった。1個240円。
お店の人気No.2商品という。さもありなん。

2009年04月12日

くず餅~西 vs 東

◆くず餅を食べたくなって
先日、ふとくず餅を食べたくなった。
思い浮かべたのは、奈良の町家喫茶「佐久良」の和室でいただいたアレ。
小さく丸くて、コシがあってツルンとして、のど越しがとてもよかった。

ふと東京のくず餅は三角だな、と思った。
くず餅は、関西では「丸」、関東では「三角」なのかな。
念のため、Webで調べてみたら驚いた!

◆西・東では材料も製法も全く違う
関西のくず餅は『葛』で作る『葛餅』。『葛』の産地が近いから?
関東のくず餅は『小麦でんぷん』を乳酸菌発酵させて蒸して作る『くず餅』。
う~む。

呼び名は同じでも、全く違う和菓子である。
丸だの三角だの形の問題ではなかった。
こうなったら実際に食べて味を確認することにしよう。

◆吉野葛の『葛餅』
まずは、と神楽坂で吉野葛の『葛餅』を買う。(包装の表記は「くず餅」)
真空パック入りで、一枚板の形。これを冷やして切って、きなこと黒蜜で食べる。
二人前位の320gで、840円。

ツルンとして弾力があり、冷たさもあってとてもおいしい。
「保存用に硬めに作られています」とお店のお話。無添加で賞味期限は6月2日と長い。
葛粉と砂糖と水が材料だから、家庭でも簡単に作れる。

◆江戸伝統の『くず餅』
東京で『くず餅』といえば、社寺の門前の名物になっているようだ。
Webによると、亀戸天神、池上本門寺、川崎大師などの門前に江戸創業の老舗がある。
なぜか不思議だ。

社寺の参拝は信心」であるから、けっこう遠方の人も多かったであろう。
参拝後に門前でひと休みして、お茶とくず餅でお腹を満たす。
お土産に名物くず餅を買えば、確かに参拝した証拠にもなる、というようなことかも。

今回は亀戸天神の船橋屋の阿佐ヶ谷店で『くず餅』を求めた。
『くず餅』は、小麦でんぷんを1年以上も乳酸菌発酵させ、蒸して作る。
船橋屋の製品は、普通のプラ・パック入りの常温保存。無添加で賞味期限は2日間。

ひと口サイズの縦横に切れ目が入っている。さらに各々の長方形には斜めの切れ目。
もち肌で プリプリした感じだが、うまく表現できない。きなこと黒蜜で食べる。
茶店の味というところか。(『葛餅』の方は和室のお茶うけの味といえる)

一人前のパック(10切、420円)でもけっこうボリュームがあり、お腹に効く。
乳酸菌の酸味はないが、その酸味や匂いを残している「通好み」の店もあるという。
また、この江戸伝統の『くず餅』は商業製品で、家庭では作れない。

◆あれこれ
実は、これまで江戸風『くず餅』を食べた記憶はない。
では、いつも『葛餅』を食べていたのかといえば、確信がない。
要は、惰性で食べていたということ。

『葛餅』と『くず餅』のどちらが好きかといえば、前者。(本心は「佐久良」のだ)
それでも『くず餅』という新しい味を賞味できたのはうれしい収穫。
縁日に出かけて、それぞれの門前の『くず餅』を食べてみるという楽しみができた。

一般の和菓子屋さんでは、どんな『葛餅』あるいは『くず餅』を売っているのか。
探し歩いてみて、またも驚いた。
神楽坂の「五十鈴」と「梅花亭」では作っていなかった!

両店とも『葛きり』はあった。なぜ『餅』はないのか。
勝手に推測すると、ひとつは材料難で、純正な『葛』が使えないこと。
また、小麦でんぷんからの製造は専門店でないと難しいこと。

ともかく、東京では門前店かその支店で『くず餅』を買うことになりそうだ。
『葛餅』を食べたいなら、葛粉を買って手作りするといい。(きなこ・黒蜜は買える)
『葛餅』を作るお店は、広い東京には何軒かあるようだけど。

【ここで一首】
  <吉野葛 小麦でんぷん 西・東 きなこ黒蜜 くず餅の味>

2009年04月02日

ガラパゴスの珈琲:神楽坂「緑の豆」

◆ガラパゴスは
あのイグアナとゾウガメの進化論の島。
そのガラパゴスの島々の中央部に位置するサンタクルス島。
ここにはダーウィン研究所があるとのこと。

◆サンタクルス・ブルボン
約100年前にフランス人がブルボン種の珈琲を持込んで栽培が始まった。
ガラパゴスが世界遺産として保護されるようになって、化学肥料などは使わない。
それが『サンタクルス・ブルボン』で、希少な珈琲だ。

◆キレのよい酸味
しばらく前から「緑の豆」の床に大きな袋が置いてあって、気になっていた。
先日(3/29)寄ったとき、残り少なで、隅の壁際のビンに入れられていた。
急に、今度いつ巡り合えるかと思って100gwを買い求めた。865円。

焙煎して挽いてもらった豆の香りはすばらしい。
やや酸味のコクのある珈琲だ。(お店では<独特の酸味>と表現)
やがて冷めるとその独特の酸味がかなり強く顕われる。

ところが、酸味がすっと消える。きわめてキレがよい。
見事であり、感動的でさえある。
こんなキレ味の珈琲は他に知らない。

◆イグアナ気分
ガラパゴスのイグアナ。
岩の上で青空に向かって、尖った口を突き上げている無表情な姿。
この珈琲を飲むたび、どうもそんなイグアナを思い浮かべてしまう。