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2008年03月28日

おひつ:使用体験 ~ 和の食文化に触れる

◆おひつの中は
曲げわっぱ:おひつにハサ掛け米のご飯を入れて、2日目。
全体はしっとりとして、飯粒は互いにくっつきあっている。
パラパラ状態ではない。

乾いた指で触れたら、飯粒が粘りついて、簡単には取れない。
こんな粘りは初めてだ。
水分を含んだおひつにはくっついてはいない。

◆米の素性が現れる
ハサ掛け米は、「米仙人」が山の清水で作る。
肥料は稲わらをベースにした自家製の堆肥。
無農薬(除草剤は使用)で、ハサ掛けでじっくり天日干し。

炊飯1日目はもちろん風味絶佳である。
炊飯器内においた場合の2日目もおいしかった。
が、おひつの場合の2日目は、新たな旨味が醸し出されるように感じた。

ハサ掛け米はコシヒカリの中のコシヒカリだから、粘りが身上だ。
おひつの中でその素性が明らかになったのだと思う。
農家の自家用米もやはり軽くネバネバになった。

◆和の食文化
子供の頃の米は、米仙人のハサ掛け米のように作られていた、(水は川から引いた)
品種はコシヒカリでなかったが、お釜で炊いて(普通の)おひつに移していた。
だからご飯がご飯としておいしかった。

その米とおひつを得て、懐かしの味を再現できたことがうれしい。
この味は、現代の機械依存、効率優先、石油浪費の文明の下で失われてしまった。
21世紀の社会は、自然と共生する食の文化への回帰を強く志向したいものである。

【ここで一首】
   <木の心 米の心を 包むおひつ 伝統の技 今に楽しむ

(続く)■

2008年03月27日

おひつ:使用体験 ~ おいしく食べる

◆曲げわっぱ:おひつの本質は
あるがまま、である。
入れたご飯を、ごく自然に保存するだけだ。
日本の伝統的なk木の文化、米の文化、食の文化がそこにある。

炊飯器は、炊くにはいいが、保存には弱い。。
炊いたご飯を、できるだけそのままの状態で維持するように作られている。
このやり方では、ご飯は「生きている」ことを否定される。

おひつは、ご飯の水分を自然に吸収する。
ご飯は、自然に冷めていく。
しかし、おひつの保湿機能のお陰で、ほどよい水分が保たれる。

まさに自然で合理的な関係である。
おひつの中で、ご飯は「生きている」といえる。
伝統の知恵は、時代を越えるハイテクだ。

◆試行錯誤
おひつに入れるご飯をどう炊くか。
要は、炊飯器の水加減である。
ハサ掛け米と農家自家用米で試行錯誤を、3週間ほど繰返した。

炊飯器の水量メモリを目安にしていたが、微妙に結果が異なる。
そこで計量カップで正確に決めるようにした。
10ccの差でも影響することが分かった。

◆結論
現在のところの結論は、以下のとおり。
ただし、コシヒカリでも一般の米ではない。
また、かなり固めが好きなこともあるので、ほんのご参考。

 ◇ ◇ ◇

2カップ(2合=360cc)の米に、350ccの水。(標準は450ccの水)
炊飯器の炊き上がり時間を、3時間後にタイマーセット。
炊き上がったら、しゃもじでよ~く混ぜておく。(炊飯器のまま)

この炊き立てのプチプチご飯を、噛みしめながらおいしく食べる。(1合)
残りを、可及的速やかにおひつに移す。
あとはおひつにおまかせ。

つぎに食べる時は、ご飯を耐熱皿に移して、電子レンジでチン。
ラップはかけない、と「栗久」で教わった。
飯椀に移して、おひつの優しい香りを楽しみながら、おいしく食べる。

極楽、極楽。

【ここで一首】
  <おひつよし 米よし味よし 香りよし 作れる人の 顔見えるよし

(続く)■

2008年03月26日

曲げわっぱ:おひつ

◆曲げわっぱ
曲げわっぱは、樹齢二百年ほどの杉の板を曲げて作る。
秋田県大館市の伝統工芸品である。
「栗久」は市中心部近くの曲げわっぱの製造・販売の会社。

以前、日経新聞の紹介記事で見て、HPでチェックしていた。
3月初めに函館に行くことになり、帰途、大館に寄ってみることにした。
「栗久」のシップで直接、曲げわっぱのいろいろに触れてみたかったからである。

◆いろいろ
シップは、すばらしいショウルームである。
多彩な曲げわっぱの製品が店内いっぱいに並べられている。
せいろ、おひつ、弁当箱、盆、皿、徳利セット、などなど。

◆おひつ
おいしい米をおいしく食べるには、お・ひ・つ。
ということで、まずは「2合用おひつ」を購入させていただく。
直接触れたおひつとは離れ難く、持ち帰ることにした。

写真ギャラリー

写真に付けたコメントは、「栗久」の奥さんのご説明の受け売り。
ご主人(当日ご不在)の作品に誇りを持っておられるのが、強く感じられた。
ご説明と工場見学で、曲げわっぱが少し分かったような気がしている。

(おひつの使用体験については、試行錯誤が一段落したので、そろそろ報告できそうです)

◆余談
大館市は、あの「忠犬ハチ公」の生まれ故郷であることを後で知った。
その縁で、東京・渋谷区と大館市は、食育で協力関係にあるとか。
「忠犬ハチ公」については、別の機会に紹介したいと思う。

2008年03月13日

函館:白ワイン ~ しばれづくり

◆函館わいん
「函館わいん」はワイン醸造の会社名で、明治館にショップがある。
チャーミングなワイン・レディに勧められて、試飲したのが運の尽き。
2本の白ワインを買うこととした。(3月2日)

◆そもそも
ワインについてはまるで自信がない。
それでも、このところは食事の時はメルシャンの赤(1.8Lのパック)を愛飲している。
白も探していたが、なかなか気に入る味が見つからない。

◆しばれづくり
完熟葡萄を冷凍し、果汁成分の濃縮部分のみを搾って作るのが「しばれづくり」。
当社独自の製法だそうだが、ともかくおいしければそれでいい。
買ったのは葡萄の品種で「ナイアガラ」と「ミュラートルガウ」(720ml 2,642円)。

◆「ナイアガラ」
これはすばらしい。
芳醇な香りが高く、かなりの甘口であるが飲み心地がとてもいい。
気を許すとたちまちグラスを重ねてしまいそうだ。

フルーツ・ワインのような感じで、マスカットを思わせる。
デザートに一杯飲むのにピッタリだし、パーティで乾杯するにもいいと思う。
ワインに付きまとう小難しさが吹き飛んで、盛り上がる白ワインだ。

◆「ミュラートルガウ」
コクのある甘口で、落ち着いて飲める白ワインだ。
一杯をゆっくりと味わうのにいい。
飲みながらちょっとリッチな気分になった。

【ここで一首】
  <いかがです? 紅いお勧め 白ワイン しばれづくりの 甘いひと口

2008年03月12日

函館:BAR かなざわのカクテル

◆カクテルの夜
好みのカクテルを旅先でも飲めるのはうれしい。
大門横丁の「かなざわ」は、それを叶えてくれる屋台バーだ。
コの字形のカウンターは十席で、こじんまりとした雰囲気。

マスターのシェーカーの振りがすばらしい。
「アレキサンダー」が口に合って、2晩続けて楽しませてもらった。
ここでは、ショートのグラスに目いっぱいに注ぐ。

居合わせたお客は、皆気さくで和やか。
思い思いのカクテルのグラスが並ぶ。
函館の大人の夜が流れるひととき。。

◆アレクサンダーとは(サントリーのHPより)
ブランデー/カカオ・ミルク/生クリームを、2:1:1でシェークする甘口のカクテル。
英国王エドワード7世が、愛する王妃アレクサンドラに捧げたのに由来。
「アレクサンドラ」と呼ばれていたが、いつしか「アレクサンダー」になった。

【ここで一首】
  <シェーカーの 踊る響きの 心地よく グラスにかかる 灯影ゆらゆら

2008年03月11日

函館:てらやの「なすの田楽」

◆なすの田楽
旅先で、また食べたくなる料理に出会うほど幸せなことはない。
それがさりげない一品料理であれば、なおさらだ。
また訪れて、また気楽に食べられるからである。

てらやの「なすの田楽」は、逸品だ。
無農薬栽培のなすの優しい味と、田楽味噌の懐かしい甘辛味。
同じく「ほうれん草のゴマ和え」もいい。「かぼちゃ煮」は食べ損ねた。

◆大門横丁
大門横丁は、JR函館駅から徒歩5分ほどのところにある屋台村である。
26軒のいろいろな店が屋台風の長屋に並んでいる。
夜遅くまで営業しているので、旅の人間にはとてもありがたい。

外から店内の様子が分かるので、2~3軒入ってみる間に、お気に入りの店が見つかる。
「てらや」は昨年の7月が初めてで、今回2晩通ったから、もうなじみのお店といえる。
メニューにもなじんで、「なすの田楽」に惚れ込んだりする。

◆屋台の楽しさ
屋台のいいところは、地元のお客さんを交えて会話が弾むこと。
一期一会の出会いの中に、思いがけない奇縁があったりする。
今日は今日、明日は明日、それが旅のつれづれである。

【ここで一首】
  <たまさかの 出会いに弾む 旅談義 函館屋台の 更け行く夜に

2008年03月09日

函館:本物の「し・しゃ・も」

◆北海道ししゃも
「ししゃもは、大きいオスの方が脂が乗ってておいしいよ」
「でも大き過ぎると、骨が硬くて食べにくい」
「メスは小さいし、卵がおいしいだけだね」 と朝市のおじさん。

◆ししゃも観の転回
『輸入物の大ぶりな子持ちししゃもが旨い』と思ってた。
『国内物のオスのししゃもが旨い』ということになる。
天動説が地動説に変った。

◆「北海道のオスししゃも」は旨い
オスは約15cm位、輸入物のメスよりかなり小さい。
メスは約10cn位、大きめの煮干サイズ。
「輸入物の子持ちししゃもは、ししゃもじゃない」 とおじさん。

お勧めのオスのパックを買った。(10尾×3で2000円)
帰宅して、網に載せて焼いた。
香ばしくて、脂も適度にジュウジュウ、ジュウジュウ。

柔らかくて、とても素直な優しい味だ。
この味の優しさは無農薬野菜と同じだと感じた。
旨い。 これが本物の「し・しゃ・も」 と納得。

【ここで一首】
  <輸入物 子持ちししゃもは ししゃもにあらず 道産子オスの ししゃもにしかず>

2008年03月07日

大館:比内地鶏の親子丼

◆大館の親子丼
親子丼は、鶏肉と卵がのった丼である。(誰でも知ってる)
しかし、大館の親子丼は「非」常識だ。
ここ大館は、有名な比内地鶏の産地なのだ。

それを曲げわっぱ「栗久」の奥さんの紹介のお店で味わった。
まだお昼時の「秋田比内や大館総本店」で空いているカウンタに座る。
メニューで眼についた『極め附親子丼』を注文。

◆付き出し
まず、付き出しのセットがお盆に載って出てきた。
ナメコおろし、トンブリ入りの山芋おろし、香の物の盛合せ。
そして、ガラスープの土瓶蒸し(ギンナンとマイタケ入り)。

いずれも地元産のようである。
とりわけ、ナメコとトンブリが美味。
当地の観光案内のHPに、トンブリ畑というのが載ってたっけ。

◆極め附親子丼の登場
お待たせ、極め附。
なんと、器は曲げわっぱの丼(栗久の特製とか)。
店の方「比内地鶏の霜降り肉を備長炭で焼いてございます」

早速、匙で食べ始める。
かかっている卵が何ともプルプル。
鶏肉は香ばしく柔らかく、薄い甘辛の味。

匙が止まらないで、たちまち3分の1位を一気食い。
土瓶蒸しのスープで一息入れて、また食べる。 そしてごちそうさま。
ご飯と卵と鶏肉がお腹の中で、また親子丼になったような気分だった。

そして、デミタス・コーヒー。
と、そこへ「さくら餅」、桃の節句のサービス。
大満足でお会計は、2000円也。

◆さすがのコラボレーション
不思議なのは、器の中が醒めなかったこと。
ふつうの親子丼などは最初熱々過ぎて、どんどん醒めていく。
こちらの親子丼は木の器の魔法で、最初から最後までほどよい暖かさであった。

【ここで一首】
 <親子丼 盛った器は 曲げわっぱ 比内地鶏の 味も引き立つ>

2008年03月06日

函館:菊泉の「とうふ白玉ぜんざい」

◆とうふ白玉ぜんざい
つるっとした白玉とコクのある小豆あんのぜんざい。
これはもうワザ物だ。
「どうだ」というマスタの心意気が伝わる味だ。

◆特製のとうふ白玉
「とうふ白玉」をネットで調べると、絹ごし豆腐に白玉粉を混ぜて作るのが普通。
茶房・菊泉製はそこが違う。
豆腐の水を切り、さらに布でくるんで軽く絞り、それと白玉粉を混ぜる。

水ではなく豆腐を使うのは、白玉のエグミをなくすため。
小粒のとうふ白玉は、滑らかで弾力がある。
初めてお目にかかった。

◆自家製の小豆あん
こだわり小豆のつぶしあんは、コクがありボリューム十分。
控えめな甘味が、小豆の味を引き立てている。
そこらの汁粉・ぜんざいとは、格が違う。

 ◇ ◇ ◇

◆汁粉とぜんざい
「汁粉」には、こしあん、つぶしあん、つぶあんの3種類がある。
このうち、つぶしあん、つぶあんのものを、関西で「ぜんざい」という。
ぜんざい用の小豆は、皮が柔らかくなくてはならない。

【ここで一首】
 <白玉は とうふによりて 作るもの こだわり小豆 菊泉のぜんざい>