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もう一人の引退宣言

◆西名柄のHさんの引退
6月20日(水)の午前、西名柄のHさん宅へ。
ご自宅でお話するのはずいぶんと久しぶりである。
いつもと違う座敷に通さた。

5月に撮影した写真を差し上げるなどして、話が進む。
タイミングを図っていたかのように、Hさんはキッパリと言った。
「今年で米作りを止める」と。

「もう75歳だから。あとはJAに委託先を探してもらう」
どこか人生の区切りをつけたような爽やかな顔であった。
一瞬、驚いたが、「そうか、そうなりますか」と納得もした。

◆今年の稲刈りが最後
つまりは、今年の稲刈りが最後ということだ。
ご無沙汰していたHさんの稲刈り風景は、ぜひ撮影せねば。
できれば、ハイビジョンのビデオカメラを用意したいののだ。

◆Hさんの米作りの姿勢に学ぶ
Hさんの米作りは現代の機械化方式である。
栽培方法もJAの指導基準に沿ったものである。
しかし、それで終わらないところにHさんの心意気がある。

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随所で見せる『土への慈しみ』の姿。
これは『伝統農業』では普通であった『百姓仕事』の作業姿なのだ。
それらは機械化の進む中で、ほとんど消滅してしまった。

現在70代以降の農家の人達は、それらの『伝統農業』を体現できる貴重な世代である。
『伝統農業』は日本人そのものを育んできた『日本人育成システム』でもあった。
『伝統農業』による『日本人育成システム』の再生には、70代『百姓』の力が欠かせない。

Hさんにはこのまま引退してもらいたくない。
『百姓』として、ある程度、現役で活躍して欲しいと思う。
そういう場をぜひ創り出したいと思っている。