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2009年07月28日

ハサ掛け米が届いた!

◆ハサ掛け米が届いた
先週木曜の朝、親戚から電話があった。
「仙人の娘さんが米を届けてくれたがね」
エッ、マサカ、ホント?

去年の米は、譲ってもらい損ねていた。
今の季節だと備蓄米を回してくれたのかもしれない。
金曜の夜、郵パックで米袋到着。玄米30キロ。

◆精米、炊飯
土曜、ヨドバシカメラで精米器を購入。タイガー魔法瓶製で24,800円。
何せ、初めてなので、取・説を読んで、まず、4合を7分づきで精米した。
うまく精米できたようなので、3合を研いで、炊飯器にセット。

ここで、水加減を失敗。
一昨年のハサ掛け米では、炊飯器の水量目盛の七掛けにしていた。
それを八掛けにしてしまったので、やや軟らかく炊けた。

◆ハサ掛け米の実力に感銘
このところ、いろいろな米をスーパーで買って、食べ比べている。
コシヒカリ、アキタコマチ、北海道産のナナツボシ。
しかし、どれも炊飯二日後には味がヘタる。

軟らかく炊くと水っぽくなり、硬く炊くとカチカチになる。
曲げわっぱのおひつでもダメで、結局、炊いたら食べ切るしかない。
つまり、米に締まりがない。コクがない。気品(米としての自尊心)がない。

 ◇ ◇ ◇

ハサ掛け米は、今回軟らか過ぎたので本来の味は出せなかった。
なのに、おひつに入れて二日目、レンジで暖めると、軟らかいなりに良い味が出た。
そして三日目でも、しっかりと自らの味を出す。味がぶれない!!!

ハサ掛け米には、米の力が宿っているようだ。
一般の米は、腰が弱い。持続するパワーがない。
伝統農法による野性的な米と、現代農法によるひ弱な米の画然とした差が見えてくる。

◆今度こそは
水加減を硬めに設定して、プチプチのご飯を炊こう。
飯粒を噛み締めて、その旨みを十分に味わうのである。
フニャフニャの腰ぬけご飯には、サヨナラだ。■

2009年07月26日

米仙人の手植え2009(下)

◆振り返って
今回の米仙人の手植えを拝見できたことは、貴重な体験であった。
仙人と娘さんのご好意の賜である。
親戚夫妻にいただいたご協力の賜でもある。

驚異と感動のこの体験は、米作りに対する畏敬の念を深く我が胸に刻み込んだ。
米作りには二千年に及ぶ歴史がある。
そこから培われた日本人の感性と理性は、ますます大切にしなければならないと思う。

◆仙人は
ところで仙人は、おいくつか?
大正11年(1921年)生まれとおっしゃるから、今年でなんと『87歳』!
ビデオでご覧のように、かくしゃくと働く姿は、まさに仙人、超人、あるいはお化け? m(_ _)m

◆田んぼは
元は新発田の街に住み、米作りをしていた。
昭和30年代に国道のバイパス工事にかかって、田んぼを手放した。
ちょうど当時は、田んぼに大量の農薬が使われ始めていた。

農薬を使わない米作りをしようと、現在の土地を求め、ブルドーザで斜面を田んぼにした。
山の清水を一番上に掘った池に貯め、そこから田んぼに順に落としていく。
池は、冷たい清水の温度を調節する働きがある。

また、池には鯉を飼っていて、鯉が元気なら水も安全ということになっている。
横手の草地には、ワラビが芽を出す。
水がきれいで豊富だから、季節にはホタルや赤トンボが乱れ飛ぶ。

サルも出没するが、忠犬クロがいるので安心だ。
クロは子犬のときから、田んぼの周囲を散歩させていた。
田んぼは自分の領分だから、サルが近付く気配で騒ぎ出し、鎖を放つと猛然と追い払う。

◆余談:薪ストーブ
仙人が暖をとるのは薪ストーブ。 なたで薪を細かく割りながらストーブにくべる。
奥の部屋に石油ストーブが置いてあるが、普段は使わないようだ。
薪は山の木であるから、100%のエコだ。

◆日本人の感性と理性は
手植えの作業を見ていると、日本人の感性と理性の拠り所が彷彿と浮かび上がってくる。
優れた独自の文化も、自然との共生も、匠の技の物作りも、勤勉実直な米作りからだ。
加えて、手植えには、社会が取り戻すべきミニ・コミュニティの実態がある。

作業も、その目的を理解し、技と心を込めて実行することが求められる。
一見のどかな田植え風景の奥に、きびしい真剣勝負の世界がある。
それをある程度まで感じ取れたことは、望外の幸せであった。

◆今時の田植え体験
金融破綻後の経済不況で、安直な農業回帰の傾向が見られる。
今年の田植え期には、多くの体験イベントが、TVでも放映された。
子供達やタレントが楽しそうに田植えをしている風景である。

なんでも参加・体験が世の風潮であるが、素人のお遊びに終わる危険性も感じる。
お膳立てされた舞台で演じる「ごっこ遊び」にすぎないかも。
TV映像には、かなりの「やらせ」も感じられるが、それはそれ。

◆プロの作業を見て学ぶ
先の仙人の田んぼの手植えのような、プロの作業風景を、まずじっくりと観察することだ。
子供達にはよい教材だが、経済効率を測るしか能のない経済専門家は、どうだろう。
たぶん、あまりの非効率にあくびを連発し、お得意の机上の空論に戻りたがるに違いない。

 ◇ ◇ ◇

実は、金曜(7/24)の夜、思いもかけず、仙人の「2008ハサ掛け米」が届いた。
玄米なので、昨日、精米機を買ってきた。
味わいの報告をお楽しみに。■

2009年07月21日

米仙人の手植え2009(中)

5月6日、晴れ。手植えの田植えの日。
親戚の車で仙人宅へ。
奥さんは先に出かけたとのこと。

◆手植えが始まる
現地では、仙人が田植え枠を転がしていた。
娘さんと親戚の奥さんは手植えの姿でスタートの直前。
すぐに、カメラとビデオを用意。約2時間の撮影となった。

手植えビデオへ

手植えの写真ギャラリーへ

◆田植え枠を転がす
手植えでは、田植え枠で田んぼの表面に筋目を付ける。
仙人は、目が八寸角で六角柱の枠を使っている。
田植え機導入以前に使っていたものだ。(よくぞ残してあった!)

泥んこの田んぼで、枠を真っ直ぐに転がすのは難しいそうだ。
仙人は、実に力強く、確実に転がす。しかも早い。見事な技だ。
正方形の桝目がきれいについていく。

◆仙人の仕事振り
仙人はつぎつぎと作業をこなしていく。座ってひと休みなどという暇は見せない。
田植え枠で田んぼを一枚終わると、自分も手植えに参加して片道を植える。
と、今度はあぜ道を渡って、田んぼの向う側へ補充用の苗を運んでいる。

また、手植えを片道こなす。
水の流れを調節して、すぐ下の田んぼに田植え枠を移して、転がす。
終わると、一輪車に枠を載せて、一番上の田んぼに運ぶ。

田んぼは5枚で、段々で、狭くなっていく。
そこで田植え枠についた泥を丁寧に洗い流しいる。(まるで磨くように)
いやはや超人的な仕事振り!!!

◆手植えは進む
手植えは時間がかかる。機械に比べれば、非効率の見本だ。
しかし、ここは効率とは無縁であり、生活をかけているわけでもない。
おいしい米を作るためだけの作業だ。

二人の植え手は、一歩一歩進んでいく。
親戚の奥さんは、かつて早乙女で活躍したキャリアウーマン。
昔とった杵づかで、手馴れた技がすばらしい。

仙人の娘さんは、今年が二年目の、まだ駆け出し。
しばらくすると、二人の差はかなりついてきた。
しかし、熱心に楽しそうに植える娘さんを見ていると、慣れるのも早そうだ。

手植えでは、苗を差し込んだ後、指で周りの土を寄せて、苗の根元を押さえておく。
これをしないと、苗が浮いてしまう。水中の隠れ技。
また、前の方に植えているが、後ろへ下がりながら植える場合もあるという。

◆自然のリズムで
ホーホケキョ。ウグイスが鳴く。鳥達のにぎやかなさえずり。
ケロ、ケロ。カエル達の声も。
ポチャリ、ポチャリ。苗を植え進む水音。

菜の花が咲き、わらびが芽を出している。
心安らぐ自然のリズム。
人は、こんな世界に浸ることを夢見て生きているのかもしれない。

◆おいとま
正午頃、田植えは一枚目が終わりに近づいている。
この田んぼは約4畝(400平方米)で、2時間位かかった。
全部で約1反5畝(15畝)なので、明日の午後に完了か。

「お昼食べていきなせえ」とお誘いを受けた。。
撮影も続けたかったが、ここでおいとまする。
土に生きる尊い姿を拝見できたことに、心よりの感謝を捧げたい。

(感動の余韻は、今でも残っている)

【芭蕉の一句】
田一枚 植えて立ち去る 柳かな (奥の細道)

2009年07月16日

米仙人の手植え2009(上)

◆手植えを撮影する機会に巡りあう
昨年、田植え機が故障して、米仙人は手植えで田植えをした。(後日伺った)
今年はどうか、確認のため、5/2夕刻に親戚の車で仙人宅を訪れた。
仙人はちょうど「代(しろ)かき」を終えて、あぜを整え中。

田んぼには水が張られ、田植えを待っている。
夕暮れの薄闇に、あぜが鏡のようにピカピカに輝いている。
そこに佇む仙人の飄々とした姿。

 ◇ ◇ ◇

期待と不安で、伺ったところ、
「今年も手植えをする」とのこと。
予定日は、5/6-9の間の2日間。

まさに、天から恵まれた機会。初めて手植えを拝見できる!
滞在を延ばして、撮影させていただくことにした。
良いことは重なるもので‥‥

◆親戚の奥さんが手伝うことに
かつての手植えの早乙女であった親戚の奥さんが、手伝いに行くことになった。
奥さんは、仙人の娘さんと同郷の幼馴染という奇縁がある。
実は、仙人のハサ掛けを偶然見つけてくれたのは、奥さんの実家の兄上であった。

手植えには、特別な長靴(ヒル予防用)と腰に着ける苗籠が必要である。
長靴は近所の農家にあったものを借用、苗籠は親戚の納屋に残されていた。
手伝いの準備も整った。■