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2010年07月11日

江戸風鈴 ~ 篠原風鈴本舗:江戸川区

◆ガラスの風鈴を買いに行く
梅雨の晴れ間に、ふと風鈴の音を思い浮かべた。
そういえば、伝統的なガラスの風鈴を作っている所があったっけ。
ネットで探すと、江戸川区の業者が見つかった。

HPにアクセスし、電話でも確認して、出かけた。(6/30)
JRで新宿に出て、都営地下鉄新宿線で瑞江(みずえ)まで。
駅から徒歩で12分。(実際は道を間違えて、大回りした)

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「篠原風鈴本舗」は、工場街風の一角にあった。
ショップコーナーには、風鈴が箱やショーケースに並べられている。
なんとも口数の少ない職人気質のご主人。

◆江戸風鈴を選ぶ
ごく普通の大きさと絵柄のグループのものをあれこれと鳴らしてみる。
手作りだから、音色はどれも違う。基本的には、チリンチリン。
絵柄も手書きで、花火、トンボ、あじさい、すずらん、金魚などなど。

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音色と絵柄の組合せで、気に入ったのを側のテーブルに置いていく。
そこから選んで、6個を買うことにした。ご主人がていねいに箱詰め。
花火を2個、とんぼを2個、さくらを1個、花を1個で、工場直販価格の計5,400円。

◆江戸風鈴とは
江戸時代にビードロ(ガラス)で作られていた風鈴で、下端の縁がギザギザ。
風で短冊が揺れるとガラス棒(舌=ぜつ)が縁に触れて、チリンチリンと鳴る。
金属製の鐘型の風鈴だと、チリーンと高く長い。

ガラスを吹いて作り、形は球型。
透明な表面に、鮮やかな絵柄を手描きする。
音色とあいまって、爽やかな夏の逸品である。

江戸時代にはガラスがきわめて高価で、ガラス風鈴は貴重品であったという。
明治時代になってガラスが量産されるようになり、ガラス風鈴も普及価格になった。
製造する業者も江戸川区辺で十数社があったようだ。

しかし、生活様式が変わり、都会のエアコン生活の中では影が薄くなってしまった。
今では、「篠原風鈴本舗」が孤軍奮闘の状態で、<希少伝統的工芸品>とされている。
風鈴作りの火を絶やさないよう、皆でしっかりと応援しなければならないと思う。

◆江戸風鈴はブランド名
ところで、『江戸風鈴』は「江戸風鈴本舗」の商品ブランドである。
昭和40年頃に、現会長が名付けた。
江戸時代からの伝統を受け継いで作るガラス風鈴、を表わしている。

◆風鈴をエアコンの風で聴く
軒先に風鈴をつるして、風の通りで音色を楽しみたい。
叶わぬ願いである。
都会生活では、締め切った部屋でエアコンの風で鳴らすしかない。

『江戸風鈴』のビデオ再生

エアコンの風量をやや強めにして、ビデオに収めた。
デジタルの風で、レトロな音色。チリンチリン、チリンチリン。
江戸風鈴の趣はまずまずであった。

「まずまず」とは、自然の風の<風流>には及ばないということ。
風鈴には、やはり、気まぐれな外の風が良く似合う。
どうしようもない蒸し暑さの中に、<涼>を送るのが風鈴であった。

それでも、現代のエアコン浸りの生活に、<和の涼感>を与えてくれる。
短冊を工夫すれば、弱いエアコンの風でもチリンチリンを奏でそうだ。
それにしても、このチリンチリンには心が和む。