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2012年12月04日

古代米作りに「農の心」

◆古代米を作るHさん
西長柄のHさんは、委託を受けている分と合わせ、約4ha(4町歩)で米を作ってきた。
集落のリーダーとして、JA(農協)の方針に沿って、コシヒカリを作ってきた。
残念ながら、高齢のため今年で米作りを引退することとなった。

そのHさんは、なんと、機械化農業の田んぼの一隅で、古代米(黑米)を作り続けていた。
古代米とは、現代の品種改良された米と異なり、古代の原種に近い米である。
黑米は、米粒の種皮と果皮に紫黒色のアントシアニンを含んでいる古代米である。

黑米は餅米系なので、ふつうの米に少量混ぜて炊く。
炊き上がると、白米が薄いピンクに染まって、赤飯のようになる。
ご飯の味はほとんど変わらないが、色合いを楽しんで食べられる。

  ◇  ◇  ◇

Hさんは機械化が進む前の農法で古代米を作っている:

-- ・種もみから苗を育て、田んぼに手で植えて、実ると手で刈る。
-- ・刈った稲を束にして竿にかけ、天日干しにする。
-- ・旧式の小型脱穀機で脱穀し、籾すり機で玄米にしてできあがり。

田植え機もコンバインも使わない。
三十年位前の古い機械を使うだけ。
次は、脱穀作業を初めて撮った写真で、年に1時間半位しかないチャンスであった。

IMGP0164_320.jpg


◆なせ?
手間をかけて、なぜ黑米なんかを作るのだろうか?
売るために作るわけでもないし…。
趣味にしては作業がきついように思われるし…。


◆「農の心」を読む
10月に初めて、黑米の脱穀作業の現場に出会い、じっくりとHさんの動きを拝見できた。
そこで実感したのは、実に丁寧で緻密で確実な<心のこもる>作業であった。
後片付けまで含めて、作業に見とれてしまった。

頭の中にその時のイメージが残って、グルグルと回っていた。
11月の下旬に、このイメージと「なぜ?」という疑問が、ふと合体した。
そうだったのか!

-- ・Hさんは、本当にやりたい米作りをしているのである
-- ・機械に頼らず、できるだけ手で触れる米作りをする
-- ・黑米は素朴な古代米で、コンバインになじまず、手作りそのもので作る

これはHさんが胸の内に秘める「農の心」=「百姓の心」なのではないか。
ただし、ご本人が語ってくれたわけではなく、あくまでも推測である。
今度お会いした時、ぜひ確かめてみようと思う。